駄菓子の「安全基準」:食品衛生法と製造管理
駄菓子は、子供たちの間で長年愛され続けているお菓子ですが、その手軽さや価格帯から、安全性を心配する声も聞かれます。しかし、駄菓子も他の食品と同様に、厳格な「安全基準」のもとで製造・販売されています。ここでは、駄菓子の安全性を支える「食品衛生法」と、製造現場での「製造管理」について、詳しく解説していきます。
食品衛生法による安全基準
日本の食品の安全性を包括的に規制しているのが「食品衛生法」です。この法律は、国民の健康を守ることを目的とし、食品の製造、加工、販売、そして提供に至るまでのあらゆる段階で、衛生的な管理を義務付けています。駄菓子も例外なく、この食品衛生法の適用を受けます。食品衛生法では、主に以下のような基準が定められています。
成分規格
食品衛生法には、食品に含まれるべき、あるいは含まれてはならない成分に関する「成分規格」が定められています。これには、添加物(保存料、着色料、香料など)の使用基準や、残留農薬、重金属などの有害物質の許容限度値が含まれます。駄菓子に使用される添加物も、厚生労働大臣が定める「食品添加物公定書」に基づき、安全性が確認されたもののみが使用許可されています。また、使用できる量も厳しく制限されており、基準値を超えた添加物の使用は禁止されています。
表示義務
食品衛生法は、消費者が食品の情報を正確に把握できるように、「表示義務」も定めています。駄菓子の場合、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、製造者または販売者の名称・住所などの表示が義務付けられています。特にアレルギー物質については、特定原材料(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)および特定原材料に準ずるもの(あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン)について、表示が義務付けられています。これにより、消費者は安心して商品を選ぶことができます。
営業許可制度
食品を製造・販売する事業者は、食品衛生法に基づく「営業許可」を取得する必要があります。この許可を得るためには、施設や設備が衛生基準を満たしていること、そして衛生管理者が配置されていることなどが求められます。駄菓子メーカーも、この営業許可を取得した施設で製造を行っており、定期的な行政による監視・指導を受けています。
製造現場における製造管理
食品衛生法で定められた基準を遵守し、安全な駄菓子を製造するためには、製造現場での徹底した「製造管理」が不可欠です。ここでは、駄菓子メーカーがどのように安全性を確保しているかを見ていきましょう。
HACCP(ハサップ)の導入
近年、多くの食品メーカーが、食品の安全性をより科学的かつ効果的に管理するための手法として「HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)」を導入しています。HACCPは、食品の製造工程を分析し、食中毒や異物混入などの危害が発生する可能性のある箇所(重要管理点)を特定し、それを継続的に監視・管理するシステムです。駄菓子メーカーでも、HACCPの考え方に基づいた衛生管理を導入しているところが少なくありません。
HACCPの7原則は以下の通りです。
- 危害要因の分析(Hazard analysis)
- 重要管理点の設定(Critical control points: CCPs)
- 重要管理点における目標値・許容限界の設定(Critical limits)
- 重要管理点の監視・モニタリング方法の設定(Monitoring)
- 重要管理点が管理されていない場合の是正措置の設定(Corrective actions)
- 検証方法の設定(Verification)
- 記録・保存方法の設定(Record-keeping)
これにより、製造工程の各段階で潜在的なリスクを把握し、未然に防ぐ体制が構築されます。
衛生管理の徹底
HACCPの導入に加えて、日々の製造現場では、以下のような衛生管理が徹底されています。
- 施設・設備の衛生管理:製造場所の清掃・消毒、定期的な点検、害虫・ねずみの駆除などを徹底し、清潔な環境を維持します。
- 原材料の管理:受け入れ時の品質検査、適切な温度での保管、賞味期限の管理などを厳格に行います。
- 従業員の衛生管理:手洗いの励行、作業着の着用、健康管理(体調不良時の出勤制限など)を徹底し、人からの汚染を防ぎます。
- 製造工程の管理:温度、湿度、時間などを適切に管理し、製品の品質を一定に保ちます。
- 異物混入防止対策:金属探知機やX線検査装置の導入、目視での検査など、様々な手段で異物混入を未然に防ぎます。
品質管理体制
安全基準を満たすことはもちろん、消費者が満足できる品質を保つための「品質管理体制」も重要です。駄菓子メーカーは、原材料の選定から製造、出荷に至るまで、一貫した品質管理を行っています。これには、製品の風味や食感、外観などの規格を設定し、それに沿って製造されているかを確認する作業も含まれます。また、苦情や問い合わせに対応する体制も整えられており、消費者の声も品質向上に活かされています。
その他:消費者の役割と注意点
駄菓子の安全性を確保するためには、製造者側の努力だけでなく、消費者の側にも理解と協力が求められます。
賞味期限・消費期限の確認
駄菓子にも賞味期限や消費期限が設定されています。購入時や食べる際には、これらの期限を確認し、期限切れのものは食べないようにしましょう。特に、生菓子や要冷蔵の駄菓子は、適切な温度管理が重要です。
アレルギー情報の確認
前述の通り、アレルギー物質の表示は義務付けられています。アレルギーをお持ちの方は、必ず原材料表示を確認し、安全な商品を選んでください。
保存方法の遵守
直射日光を避け、涼しい場所で保存するなど、表示されている保存方法を守ることも、品質を保つ上で重要です。高温多湿な場所での保存は、品質劣化やカビの発生を招く可能性があります。
信頼できる販売店での購入
駄菓子は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、駄菓子専門店など、様々な場所で購入できます。信頼できる店舗で、見た目にも問題のない商品を選ぶことが大切です。
まとめ
駄菓子は、食品衛生法という国の定めた厳格な安全基準のもと、各メーカーの徹底した製造管理によって、安全に製造・販売されています。HACCPなどの先進的な管理手法や、日々の地道な衛生管理、そして品質管理体制の構築により、子供たちが安心して楽しめるお菓子が届けられています。消費者の皆様も、表示をよく確認し、適切な保存方法を守ることで、より安全に駄菓子を楽しむことができます。駄菓子は、単なるお菓子ではなく、食の安全に対する社会全体の意識の表れでもあるのです。
