せんべいの「食品添加物」:使用目的と安全性

和菓子の時

せんべいにおける食品添加物:使用目的、安全性、および関連情報

せんべいは、日本古来より親しまれてきた伝統的な菓子であり、その素朴な味わいと香ばしさで多くの人々を魅了しています。米を主原料とし、醤油や砂糖などで味付けされ、焼き上げられるのが一般的ですが、現代のせんべい製造においては、品質の維持、風味の向上、そして製造工程の効率化のために、様々な食品添加物が使用されることがあります。

食品添加物は、私たちの食生活を豊かにし、安全で多様な食品を提供するために不可欠な役割を果たしていますが、その使用には消費者の関心も高く、正確な情報に基づいた理解が求められます。本稿では、せんべいに使用される食品添加物に焦点を当て、その使用目的、安全性、そして関連する情報について、深く掘り下げて解説します。

食品添加物の定義と法規制

食品添加物とは、食品の製造または加工の際に、食品に添加される物質であり、食品の保存性の向上、風味の改善、外観の調整、製造工程の助剤などの目的で使用されます。日本の食品衛生法においては、食品添加物は「食品の製造・加工には欠かせないもので、食品の保存性向上、風味・外観の改善、製造・加工の技術的または経済的な理由による必要性から使用される」と定義されています。

食品添加物の使用にあたっては、食品衛生法および関連法規によって厳しく規制されています。具体的には、使用できる添加物の種類、使用基準(量の上限など)、表示義務などが定められています。これらの規制は、食品添加物の安全性を確保し、消費者が安心して食品を選択できるようにするための重要な仕組みです。

使用が認められている食品添加物の種類

せんべいに使用される食品添加物は、その目的によって多岐にわたります。代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。

① 保存料

保存料は、食品の腐敗やカビの発生を抑え、賞味期限を延長する目的で使用されます。特に、せんべいのように比較的乾燥した状態であっても、湿度の高い環境下ではカビが生じる可能性があります。保存料を使用することで、食品の安全性を維持し、食品ロスを減らすことに貢献します。ソルビン酸や安息香酸などが代表的な保存料として知られています。

② 調味料(アミノ酸等)

せんべいの風味を豊かにするために、調味料が使用されることがあります。特に、アミノ酸を主成分とする調味料は、うま味を増強し、味に深みを与える効果があります。グルタミン酸ナトリウム(MSG)やイノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムなどが代表的です。これらは、食品本来のうま味を引き出し、より美味しく感じさせる役割を果たします。

③ 甘味料

せんべいの甘みを調整するために、甘味料が使用されることがあります。砂糖の代わりに、あるいは砂糖と併用して、カロリーを抑えたり、独特の甘みや後味を付与したりする目的で使用されます。サッカリン、ステビア、アスパルテームなど、様々な種類の甘味料があります。

④ 着色料

せんべいの見た目を鮮やかにしたり、原料の風合いを均一に見せたりするために、着色料が使用されることがあります。カラメル色素や紅麹色素、アナトー色素などが一般的に使用されます。着色料は、消費者の購買意欲を刺激するだけでなく、食品の品質を視覚的に保証する役割も担います。

⑤ 乳化剤

乳化剤は、油と水を均一に混ぜ合わせ、分離を防ぐ役割をします。せんべいの生地の均一性を保つためや、表面に油を均一に塗布する際に使用されることがあります。レシチンなどが代表的な乳化剤です。

⑥ 膨張剤

膨張剤は、生地を膨らませて、せんべいに軽い食感やボリュームを与えるために使用されます。特に、ソフトせんべいや、ふっくらとした食感を求められるせんべい類に用いられることがあります。炭酸水素ナトリウム(重曹)や炭酸水素アンモニウムなどが一般的です。

⑦ 香料

香料は、せんべいに風味や香りを付与するために使用されます。醤油の風味、海苔の香り、ごまの香りなど、様々な香料が用いられ、せんべいの魅力を高めます。天然香料と合成香料がありますが、いずれも安全性が確認されたもののみが使用されます。

食品添加物の安全性について

食品添加物の安全性については、消費者の間で様々な懸念が持たれています。しかし、日本で食品添加物として使用が認められているものは、食品衛生法に基づき、科学的な評価を経て安全性が確認されたもののみです。

① 科学的評価と安全基準

食品添加物は、その製造・輸入・使用にあたり、厚生労働省の専門機関である食品安全委員会によって科学的な評価が行われます。この評価では、動物実験や疫学調査などのデータに基づき、健康への影響がないと判断される許容一日摂取量(ADI)などが設定されます。このADIは、人が一生涯にわたって毎日摂取し続けても、健康に悪影響がないと推定される量です。

② 使用基準の遵守

食品添加物は、それぞれに「使用基準」が定められています。これは、個々の食品に使用できる添加物の種類と、その最大使用量を定めたものです。せんべいにおいても、これらの使用基準が厳格に守られて製造されています。製品の原材料表示には、使用された食品添加物の名称が記載されているため、消費者はそれを確認することができます。

③ アレルギー

一部の食品添加物は、アレルギー反応を引き起こす可能性が指摘されています。しかし、これらはごく一部であり、アレルギー体質を持つ人は、自身が反応する可能性のある添加物について、原材料表示を確認することが推奨されます。

④ 慢性的な摂取と健康への影響

食品添加物は、通常、食品中に微量しか含まれていません。また、使用基準が定められているため、一般的には、通常の食生活においてADIを超える量を摂取することは考えにくいとされています。しかし、特定の添加物について、長期的な摂取による健康への影響について研究が続けられています。

表示制度と消費者の権利

食品の原材料表示は、消費者が食品の内容を把握し、安心して食品を選択するための重要な情報源です。食品衛生法に基づき、食品に使用されている食品添加物は、その名称が原則として表示義務となっています。

① 原材料表示の確認

せんべいのパッケージに記載されている原材料表示を確認することで、どのような食品添加物が使用されているかを知ることができます。「調味料(アミノ酸等)」のように、特定の添加物のグループ名で表示される場合もあります。

② 表示義務の対象外

一部の食品添加物(例えば、食品の製造過程で添加され、最終製品には添加されていないものなど)や、加工助剤として使用されるものは、表示義務の対象外となる場合があります。

③ 消費者の選択

食品添加物の使用について、個々の消費者は、自身の健康状態や考え方に基づいて、食品を選択する権利を持っています。原材料表示を参考に、疑問点があれば製造元に問い合わせるなどの行動も可能です。

まとめ

せんべいに使用される食品添加物は、食品の品質維持、風味の向上、製造工程の助剤など、様々な目的で、法規制の下で安全性が確認されたものが使用されています。保存料、調味料、甘味料、着色料、乳化剤、膨張剤、香料などが代表的であり、それぞれに厳格な使用基準が設けられています。

食品添加物の安全性は、科学的な評価と規制によって担保されており、一般的に、適正に使用されている限り、健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられています。消費者は、原材料表示を確認することで、食品の内容を把握し、自身の判断で食品を選択することができます。

食品添加物に対する過度な不安を持つ必要はありませんが、情報に基づいて正しく理解し、賢く食品を選択していくことが重要です。