「ガム」系駄菓子:フーセンガム、板ガムの歴史

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和菓子情報:「ガム」系駄菓子:フーセンガム、板ガムの歴史

フーセンガムの誕生と発展

フーセンガム、すなわち膨らませて遊ぶことができるガムは、そのユニークな特性から子供たちを中心に世界中で愛されてきました。この「膨らませる」という遊びの要素が、単なるお菓子を超えた体験を提供したのです。フーセンガムの歴史は、チューインガム全体の歴史と密接に関わっています。

チューインガムの起源

チューインガムの歴史は古く、古代メソアメリカ文明にまで遡ります。アステカ族などは、チャクルという木から分泌される樹液を噛んでいました。これは現代のガムとは組成が異なりますが、咀嚼するという行為に共通点があります。近代的なチューインガムの原型は、19世紀のアメリカで確立されました。ジョン・カーティスが、パラゴムという樹液を原料としたチューインガムを製造・販売したのが始まりとされています。その後、ペパーミントなどの香料が加えられ、より風味豊かなものが作られるようになりました。

フーセンガムの登場

フーセンガムが誕生したのは、チューインガムの進化の過程においてでした。当時のチューインガムは、主に味を楽しむものでしたが、「膨らませる」という新しい遊び方が見出されたのです。これは、ガムの粘着性や弾力性を利用したもので、子供たちの間で自然発生的に広まったと考えられています。特定の人物が「発明した」というよりは、ガムの特性を活かした遊びが普及した結果と言えるでしょう。特に、1920年代から30年代にかけて、アメリカでフーセンガムの製造が盛んになり、子供たちの間で爆発的な人気を博しました。

日本におけるフーセンガム

日本にチューインガムが本格的に伝わったのは、第二次世界大戦後です。アメリカ兵が持ち込んだものがきっかけとなり、徐々に広まっていきました。特に、1950年代後半から60年代にかけて、日本でもフーセンガムの製造・販売が盛んになり、子供たちの間で大流行しました。当時の子供たちにとって、フーセンガムは憧れのお菓子であり、友達と「誰が一番大きな風船を作れるか」を競い合うのが楽しみでした。様々な味やキャラクターものが登場し、駄菓子屋の定番商品となっていきました。

板ガムの普及と多様化

板ガムは、フーセンガムとは異なり、主に味や香りを長持ちさせることを目的としたガムです。その形状から「板ガム」と呼ばれ、子供から大人まで幅広い層に親しまれています。板ガムの歴史も、チューインガムの発展とともに歩んできました。

板ガムの進化

板ガムの原型は、チューインガムの初期の形態に見られます。当初は、樹液を固めたものを噛んでいましたが、次第に香料や甘味料が加えられ、より嗜好性の高いものが開発されました。近代的な板ガムの製造技術が確立されるにつれて、様々な形状や硬さのものが登場しました。特に、歯や歯茎に良いとされる成分(キシリトールなど)が配合された機能性ガムや、複数の味が組み合わされたものなど、多様化が進んでいます。

日本における板ガム

日本においても、板ガムは長年にわたり親しまれてきました。駄菓子屋では、様々な味の板ガムが並び、子供たちが「どれにしようかな」と選ぶ光景が見られました。フーセンガムと同様に、板ガムもキャラクターものや、特定のキャンペーンと連動したものが登場し、コレクターズアイテムとなることもありました。近年では、単に味を楽しむだけでなく、口臭予防や虫歯予防といった機能性を重視した板ガムも増えています。

ガム系駄菓子の現代

現代においても、フーセンガムや板ガムは根強い人気を保っています。駄菓子屋の減少とともに、かつてのような隆盛は見られないかもしれませんが、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、オンラインショップなどで容易に入手可能です。また、近年では、クラフトガムや、健康志向に合わせたナチュラル素材を使用したガムなども登場し、新たなファン層を獲得しています。

子供たちの楽しみとして

フーセンガムは、依然として子供たちの「遊び」の要素を持つお菓子として親しまれています。友達と風船の大きさを競ったり、「割れるまで噛み続ける」といった遊びは、子供たちのコミュニケーションツールにもなっています。板ガムも、授業中や移動中など、手軽に口寂しさを紛らわせるアイテムとして、多くの人に愛用されています。

多様化するニーズへの対応

メーカー側も、消費者の多様なニーズに応えるべく、様々な種類のガムを開発しています。味のバリエーションはもちろんのこと、機能性、健康志向、環境への配慮など、多岐にわたる要素が盛り込まれています。例えば、シュガーレスガムは、虫歯予防の観点から子供から大人まで広く支持されています。また、特定のフレーバーや、リフレッシュ効果を謳ったガムなど、ターゲット層を意識した製品開発も進んでいます。

まとめ

フーセンガムと板ガムは、それぞれ異なる魅力を持つガム系駄菓子として、長年にわたり人々に親しまれてきました。フーセンガムは、その「膨らませる」という遊びの要素で子供たちの心を掴み、板ガムは、手軽に楽しめる味や香りで幅広い層に支持されてきました。これらのガムは、単なるお菓子という枠を超え、子供時代の「思い出」や、「コミュニケーション」のツールとしても、私たちの生活に深く根差しています。技術の進歩とともに、ガムはさらなる多様化を遂げ、今後も私たちの「噛む」という行為を通じて、様々な楽しみを提供してくれることでしょう。